ロンドン紀行記2003

     

 ただ日本の素晴らしいものは美術館や博物館ではあまり見る事が出来ないのです、それは侵略されていないからです、日本の美術品を所蔵されている多くは貴族達の個人の持ち物なのです、特に江戸時代中期以降の芸術品、美術品はかなりの数が輸出されている様です、漆塗りや陶磁器、襖絵や掛け軸、浮世絵などです、また江戸後期から明治にかけ陶磁器が東インド会社を通して九州の伊万里港から有田焼の一級品を送られたのです、むろん薩摩焼や京焼などもです、今は里帰りとして時々アンティークとして売買されて居ります、皆さんも時々テレビの「なんでも鑑定団」にも出ますので見ているのでは無いでしょうか。。。

私も見ていますよ、アメリカなどに輸出された陶磁器とはランクが違う上級品が多いです、ドイツのマイセンやイギリスのスタッフォードシャーやウエッジウッド、ロイヤルドルトンなどには日本芸術がかなり影響を与え今に有るようです、勿論イギリスだけでなく、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国全てにです、ただどこの国の美術館や博物館、または個人所有の漆塗り製品の場合は保存管理が難しく困っているのが現事情です、保存の為の漆職人がいないからです、ウルシの樹液を精製したものを丹念に200層も塗り重ね彩色をしたり金彩などをした蒔絵や沈金などはとても難しく日本の美の素晴らしさに堪能していたのです、17世紀後半にはヨーロッパ人はこの素晴らしい技術を真似しようとしましたが、漆に欠かせないウルシを見つけだせずに、昆虫から取れる樹脂状の物質、セラックを代用にしました、またヨーロッパでは漆かぶれは特にきらう様でなおさらなのですね、その上に漆塗り用の絵筆が手に入らないのが事実でこれは日本でも同じように深刻な状態なのです、細密用の絵筆に使われる毛は琵琶湖にしか生息しない野ねずみから取り、そのなかでも極一部の細い毛しか使用しないのです、現在はその琵琶湖でも取れなくなってしまい代用品になるねずみを世界中から探しているのが現状です、1ミリの中に5本の線を書く事が出来る筆が必要なのだそうですから、後継者不足だけでなく、日本の美術品保存管理上でも用具にも不足する時代なのです、実は美術館や博物館だけでなく美術工芸家のなかで現在とても深刻な問題な事だそうです。。

どおでしょう皆さんロンドンはテームズ川沿いでかなり大きな規模でアンティーク市が毎週開かれていますので時間のある方はぜひ一度足をのばして見て下さい、楽しいですよ。 今回も最後まで見て頂き誠に有難う御座います、2004年はアメリカにも探索に行って来る予定です。 鈴 木 誠 一